君は死ぬ。僕だってそうだ。これは現実だからだ。
僕らは何人たりともこの現実から逃れられないし、祈っても無駄だ。
いずれ、死ぬ。
-----クモンタイシ 2007年6月のミクシィ日記より
そろそろ一回忌が近づいていますが、いかがお過ごしですか?
こちらは梅雨に入ったはずですが、晴れた日が続いています。
あなたと初めて出会い、写真を撮り、去年あなたの死を遠い石垣島で知りました。
お会いした回数はほんの2・3回でしたね。
まさか、あなたの葬儀に遺影として飾られるとは思っても見ませんでした。
そっちのビールは上手いですか?
おそらくあと90年近くはそちらに行く事は無いと思いますが、行ったら一緒に酒を飲みましょう。一度でいいから一緒にお酒を飲みたかったんです。
改めてあなたの写真を眺めた時、やっぱりカッコイイと思いました。
写真は何も答えません。
ただあなたの姿を映します。
2008/05/27
Yudo Nishioka
2008/05/12
佛の座
日本に帰ってきた。
台湾での取材そして撮影は、こんなにやりにくい仕事もあるのかと、愚痴の一つも言いたくなるような事が無かったわけじゃない。
毎晩記者さんと二人で愚痴り合って、悔しいけどがんばろう、目にもの見せてやろうって慰め合った。
日本に帰ってきてから、台湾での写真を大勢の人に見てもらった。
多くの人が、感動した。
日本人も台湾人も、カナダ人も、ドイツ人も。
中には、泣いた人もいた。
なにより、僕自身上がった写真を見て鳥肌が立った。
この時は撮った瞬間に直感があった。
持ち上げられ、ほめられ、感想を聞き、嬉しかったが、素直に調子に乗らない自分がそこにいた。ここ数日違和感を感じていた。
写真は確かに、面白いものが撮れた。少ないキャリアながらそれなりに目は肥えているつもりだ。その僕が自分の写真を見て鳥肌がたったんだから、面白いものがとれたと言って間違いない。
しかしながら、感動をし、感想を嬉々として伝えてくる彼らが見ているものと、僕が見ているもの、このギャップに僕は悩む。
彼らは言う。
「すごい!!本当にかっこいい!!実物よりかっこ良く見える!」
まさにその通りなんだと、いまさらながらはたと気がついた。
僕にとって現実の世界が、彼らにとって幻想の世界であるという事だ。
現実を擦り映した狂気の映像こそ写真の正体だ。現実を無自覚に拡張し充足させる。見る者の視線をまっすぐに受け止め、ささやかな幻覚でもってその姿を返す。
彼らが感動したのは写真そのものが持つ力であって、僕は呼び水でしかなかった。
なぜ今までこの力に僕は無自覚だったのだろう。
写真のが持つ力は僕の力じゃない。
撮る者の手を離れ、写真が写真としてそこにある時、撮る者の力は何も及ばない。
ただ写真を見る者の力がそのささやかな幻覚を享受する。
2008/05/04
台湾ロマン
僕の目から見て、台湾の街はあやしさ満点だった。
ビンロウ売りに意味の分かるような分からないような漢字。
この看板を見た時に何かこう、ロマンのようなものを感じた。
場所は台湾基隆から徒歩10分程度の古くからある風俗街。
日本だと、赤線と呼ばれるような場所だ。
薄暗く赤い照明。
店の軒先、あるいは窓の格子の中から若いか古いか分からないおそらく女性が、こちらに視線を送ってくる。
そしてこの看板。
ああ、なんて読むのだろう。
日本語の上と下という漢字をくっつけ、そして拉致の拉、これがOKってわけだ。
ああ、間違いない、ここはエッチなお店だ。
そう僕は確信した。
風俗童貞の僕は、どんなサービスがあるのかと、夢を膨らませた。
上下? 拉致? OK? ああ、なんて事だ!?
台湾で出来た友人の周さんに鼻息荒く訪ねてみた。
「あの字はなんて読むの?何のお店なの?一体あのお店で何が怒っているの?」
「ああ、カラオケです」
「ああっ!?」
「だからカラオケ」
「なんてことだ!!!!!」
2008/05/02
台湾で食い倒れ。
珍しく自分を激写されたのであっぷした。
撮影者の了承は得ずに事後承諾だけど。
写真撮影は尤利先生。
台湾の屋台で頑張ってごはんをたべようとしてたんだ。
英語が通じるかなと思いきや、そうそう通じるわけでもなくコンビニで若い子相手に話をすると No,64 が英語で通じなかったりする。
台湾語を勉強しておくべきだったと反省。
で、屋台でなんだかよくわからないお好み焼きみたいなものを発見したんだ。
おいしそうでさ、作ってるおばちゃんが甲高い声でいろいろ行ってくるんだけどさっぱりわからない。
「りえるいえらいhゔぁいh;あそらおpゔぁおいfじょ;:あいb」
よくわからないから、一生懸命指差して、「これ、これ、一つ!」っておばちゃんに言ったんだ。
そしたら、すごい野太い声で、
「わかった」
「え?(日本語?)」
「卵いる?」
「うん」
「ソースは?」
「欲しい」
「はいよ」
「・・・・マジうめぇ!! ッパネェ!!」
いや、それだけの話なんだけどな。